東工大生の食生活

 「腹が減っては勉強(研究)もできぬ」、ということで、キャンパスライフで大きなウェイトを占める、東工大生の「食生活」について、「留学生」「キャンパス」「自宅か下宿か」の観点から分析をしました。

 

(1)留学生の食生活

 日本人学生よりも、留学生の方が学食をよく利用している。

 

 キャンパス内において、留学生と日本人学生の食生活には差があるのでしょうか。ここでは、「留学生」と「日本人学生」の「学食へ行く回数」を比較してみました。(ここでは、外国籍を持つ学生を「留学生」と定義しています。)

 グラフより、全体的に留学生の方が学食へ行く回数が多い傾向が読み取れます。学食へ行くことがない(0回)と答えた学生は日本人学生の4割弱に上る一方、留学生で学食を使わない学生は2割ほどしかいないようです。また、学食を週に6回以上使用する「ヘビーユーザー」は、日本人学生では1割にも満たない一方、留学生で使用する人は1割以上になっています。東工大の全学生の1割を占める留学生は、学食にとっての「お得意様」と言えるかもしれません。

 

 

(2)キャンパス別に見た食生活

 大岡山キャンパスの学生に比べて、すずかけ台キャンパスの学生は学食を頻繁に利用。大岡山の学生のうち、石川台地区の学生は生協の代わりにコンビニや外食を、緑が丘地区の学生はコンビニや生協販売の弁当を食べている。

 

 日頃の活動場所によって、食生活に差はあるのでしょうか。ここでは、キャンパスごとの食生活をまずは石川台と緑が丘を含む大岡山とすずかけ台で比較し、その後さらに大岡山を石川台、緑が丘とこれら2つの地区を除いた大岡山の3つに分けて各キャンパスごとに集計してみました。

 まずは大岡山とすずかけ台の比較です。大岡山よりすずかけ台のほうが学食や生協購買部の利用頻度が高くなっています。これはすずかけ台キャンパス周辺には飲食店や惣菜店やコンビニなど飲食物を扱うお店がほとんど無く、必然的に学食や生協を利用せざるを得なくなった結果だと考えられます。すずかけ台で週に5回以上学食を利用している人がいますが、この人たちは夕食及び土曜日のお昼も学食で食べていると考えられます。これは裏を返すとすずかけ台の学生にとって、生協があることの意義は大きい、といえるでしょう。

 外食をしたり生協以外のお店で食べ物を購入する人の割合は大岡山のほうが多いことがわかります。これは大岡山のほうがキャンパス周辺に飲食店やコンビニ・スーパーが多いからだと考えられます。すずかけ台周辺にもお店があれば、学食や生協購買部の満足度が高くないことから、これらの依存率が低くなると思います。

 すずかけ台キャンパス周辺には飲食店が少ないことからキャンパス内部及び周辺に新たな飲食店をつくってほしいという意見は多数ありました。特に大学院生などは常に忙しいことが多く、なかなか気晴らしをする時間が取れないのが現状です。そんな中食事は手ごろな気分転換になっている場合が多いと思います。食事の気分転換という側面を考えるとすずかけ台の学生は選択肢が少なく、大岡山に比べて恵まれていません。

 

 続いて石川台地区、緑が丘地区と大岡山の比較です。あまり学食を利用しない傾向にある大岡山キャンパスですが、その中でも石川台と緑が丘の学生は大岡山の学生と比べて学食を利用しないことが分かりました。これは学食が大岡山にあり、石川台や緑が丘の学生にとって遠いことが影響していることが利用頻度の低下に繋がっていると考えられます。石川台と緑が丘の学生を比較してみると、石川台の学生は「外食」する人が多い一方で、緑が丘の学生は「生協販売のパンや弁当を購入」しているようです。

 

 

(3)自宅生の食生活

 自宅生よりひとり暮らしの学生の方が、学食を利用し、外食をする傾向がある。

 

 自宅生と下宿生の食生活の差はどうなっているのでしょうか。ここでは、自宅から通学する学生と下宿生(アパート・マンションに住む学生)の食生活の違いを分析してみました。

 その結果、自宅生は学食をあまり利用しない傾向にあることが分かりました。また、学食以外での食事場所として、自宅生は「生協販売のパン・弁当」を選択する人が最も多かったのに対して、下宿生は「外食」や「コンビニのパン・弁当」を利用する人が多いことが分かりました。

 

 

(まとめと提言)

 以上の結果から分かるように、東工大生の食生活は、国籍、キャンパス、自宅か下宿かといった、学生それぞれのバックグラウンド・環境によって、その特性が異なることが分かります。

 

 ついては、生協や学生食堂経営を担当される部署におかれましては、多様なバックグラウンドを有する東工大生それぞれに応じた、きめ細かな食生活を提供してくださることを望みます。具体的には、

  • 学食の隠れた「お得意様」である「留学生」に配慮した食環境の提供
  • まわりに食事をする場所が少ないために、学食を使うことが多くなる「すずかけ台」の食への配慮
  • 学食が遠いために「生協販売のパン・弁当」を多く利用する緑が丘・石川台両地区の学生への配慮

等により、勉学・研究環境の充実を食生活からサポートしてくださることを望みます。

 またすずかけ台に関しては、食の多様化を図り食事の持つ気分転換という側面に着目して、生協以外の飲食店の設置が望ましいと考えます。大岡山のような規模の商店街が近隣にないので、小規模なものであっても、生協以外の飲食店をキャンパス内に設置することを望みます。

 

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2010 Tokyo Institute of Technology