大学院生

 東工大には修士課程3518名・博士課程1536名の大学院生が在籍しています。これは東工大の学生全体のおよそ半分(50.2%)に上る数です。ここでは、東工大の院生が「求める施設」「求める学生生活サービス」、そして大学院生が受けた「ハラスメント」の3点について分析してみました。

 

(1)院生が求める施設

 忙しい研究生活ゆえ、レスト・スペースとコンビニエンス・ストアが大人気。

 主に研究室・実験室を活動拠点とする大学院生は、大学にどのような施設を求めているのでしょうか。18の設備について、設置を希望する人の割合を調べました。

 ダントツに希望が多いのは、レスト・スペースとコンビニエンス・ストアで、共に63%の学生が「ほしい」と答えています。ここでいうレスト・スペースとは、安心して仮眠が取れる場のことです。研究内容によっては、学校に寝泊りしたり、長時間の作業が必要な東工大生ゆえに、昼夜間問わず、眠れる場所・休憩する場所が求められているものと思われます。研究室によっては、研究室内または実験室の片隅に簡易ベッド等を設置しているところもありますが、数が足りない等の理由で、寝袋等を利用して、繋げた椅子の上や、直接床の上などで寝ている学生もいるようです。不規則かつハードになりがちな研究生活を乗り切るために、短時間でもぐっすり静かに安心して眠れるレスト・ルームを希望する学生が多いようです。

 一方、レスト・ルームと同様に、コンビニエンス・ストアへの希望も多くみられました。不規則な研究生活になりがちな大学院生には、24時間いつでも開いているコンビニが重宝されるようです。

 

 

(2) 大学院生が求める学生生活サービス

 やっぱりキャリア・サポートがほしい

 大学院生が、大学に求める学生生活サービスについて調べてみました。16項目中、支持が多かったのは、進路・就職に関すること、実習・インターンシップに関すること、そして留学・海外生活に関することなどキャリアサービスでした。

 東工大は、日本国内で専門分野に就業する場合においては、今まで特に困難がなかった為、キャリア・サポートが薄かったように思います。ところが近年、日本や専門分野に限らず、広く自分のキャリアの幅を見つめる学生が増加してきました。現在は、学生のニーズに大学のサポート体制が追いついていない状況だと言えるでしょう。

 

 

(3) 院生とハラスメント

 院生の5人に1人がハラスメント経験者

 院生におけるハラスメント問題がどれだけあるのか、調べてみました。その結果、「今までにハラスメントを受けたことがある」と回答した人が約19%、そのうち「現在受けている」と回答した人が約8%いました。今までに受けたことのあるハラスメントの種別としては、アカデミック・ハラスメントが最も多く 14.7%、次いでアルコールハラスメントが5.7%、セクシャル・ハラスメントが2.4%でした。院生の男女比(およそ6:1)を考えると、セクシャル・ハラスメントは女子生徒の方が受けやすいと考えられます。

 

 

(まとめと提言)

 院生が求める施設および学生生活サービスは、正に予想通り、「不規則な生活に対応できる施設」と「キャリア・サポート」であることが分かりました。不規則で不健康な生活はしないに越したことはありませんが、東工大においてはある程度は仕方ないという大学院生の意見の現われであるようにも思われます。また、東工大のキャリア・サポートの薄さが明らかになりました。

 一方、ご承知のとおり、ハラスメント問題は数字の大きさで決まるものではありません。しかし5人に1人がハラスメントを受けたことがある、という状態はひどいと言わざるを得ないように思います。研修・教育などの機会を通じて、東工大の構成員(教員・学生とも)のハラスメントに対する意識を向上させる必要があるように思われます。

 

解決策

  • 学生支援課は、就職支援等のキャリア・サポートを強化するべき
  • 留学生課は、キャリア・サポートの一環として、日本人学生に対する留学サポートを強化するべき
  • 学校側はハラスメントに関する研修・教育等の機会を提供するべき

 

このページのトップへ

学勢調査2010のTOPへ

2010 Tokyo Institute of Technology