キャンパス内の喫煙

 大学に限らず社会のあらゆるところで議論を呼んでいる喫煙問題。東工大でも、「タバコ自動販売機の全撤去」や「歩きタバコ禁止」など規制強化への動きが強まる中、喫煙者、非喫煙者共にさまざまな意見が伺えます。

 

■グラフから読み取れる全体の傾向

 

 最近の規制強化の効果からか、図(4)-f-1から読み取れる通り「現状のままでよい」の割合がもっとも多くなっています。また、もともと比較的喫煙者の数が少ないということもあり、気にならないという人も多いようです。

 しかしながら、図(4)-f-1において「現状のままでよい」と並んで「全面禁煙にしてほしい」が多いところから、嫌煙の傾向が強いことは確かであると思われます。

 「喫煙所を減らして欲しい」が少ないのは、禁煙よりも分煙の考え方がかなり浸透しているからであり、実際に自由記述においても喫煙所を増やすべきだと意見が多く見られます。

 図(4)-f-2から、学部学生については、大岡山では嫌煙の傾向が有り全面禁煙を望む声が多いのですが、逆にすずかけ台では問題を感じないという人が多いようです。

 

 

■マナーの悪さ

 歩きタバコ、ポイ捨て、吸殻の放置、喫煙所以外での喫煙といった喫煙マナーの悪さや規制違反を指摘する声は多く、特に歩きタバコに関しては約150人の学生が指摘しました。実際にあった小火事件や化学系が扱う有機溶剤への危険性などから、改善の重要性も伺えます。

 簡単に実行できる対策として、歩きタバコ禁止などを呼びかける掲示を増やすなど意識改善を働きかけるべきです。そのことにより、何人かが指摘した学外者のマナーの悪さも改善されると思われます。

 またマナーの悪い人々を注意する人がいない現状に原因があるとし、警備員などにより直接個人へ注意を望む声も複数の学生からありました。

 教員や職員といった、学生以外の学内者の喫煙マナーを指摘する声も比較的多くあり、目立ちました。特に教員に関しては学生の見本となるべきであるとの声や、個人レベルで注意できる人がいないなどの指摘もあり、教職員への直接の働きかけが必要かもしれません。

 マナー向上のために違反した者に停学や罰金といった罰則を科すべきだとの意見もありましたが、あまり現実的ではないでしょう。

 

 

■喫煙所の改善

 分煙を目指す中で非常に重要となる喫煙所の数、環境、位置の問題を指摘する声が多数ありました。

 喫煙所の数に関しては、現在少なすぎるため増やしてほしいという意見ばかりでした。これは、喫煙者、非喫煙者双方からあり、喫煙所を増やすことで、路上喫煙なども減るだろうとの見通しもあるようです。

 喫煙所環境に関しては、吸殻入れが小さくいつも溢れていること、ゴミ箱がないためゴミが散乱していることなどが指摘されています。また、喫煙者にとってリラックスの場であることを考え、椅子を設置してほしいとの声もありました。屋内における排煙設備を整えた喫煙所の設置や、(例えば駅の待合所のような)屋外喫煙空間の設置を求める声も比較的多くありました。特に、冬は屋外の喫煙所のみでは厳しいとのことです。

 喫煙所の場所の移動を求める声は特に非喫煙者から多くありました。現在建物の入り口や人通りの多い場所に設置されており、建物の中に煙が入ってしまうことや、通行人が煙を吸ってしまうことが指摘されています。建物の入り口から多少離れた、人通りの少ないところへの移動も求められています。

 喫煙所の改善については、予算、工期の面でも比較的容易に実現できると思われるため、早急に取り組んでいただきたいです。

 

 また、現在学内の喫煙所の位置が明示されておらず、地図に載せるなどして喫煙所の存在をアピールすることで、喫煙マナー向上にもつながるとの意見もありました。

 

 

(まとめと提言)

 様々な要求や対策案がある中、実現性の高い簡単なものから早急に始めていくべきだと考えます。全面禁煙は喫煙者の権利の問題も絡んでくるため困難であり、方針としては「より質の高い分煙」を目指していくべきでしょう。

■解決策

  • 掲示などにより、喫煙マナー改善への働きかけを強化する。
  • 喫煙ルールを守らない教職員に大学から直接注意を促す。
  • 喫煙所の数を増やすと共に、地図などで喫煙所のキャンパス内位置を明示する。
  • 灰皿の増加、ゴミ箱、ベンチの設置などにより喫煙所の環境を整えると共に、より頻繁に掃除を行う。
  • 建物入り口や、人通りの多い場所にある喫煙所を別の場所に移動させる。
  • 屋内喫煙所・屋外喫煙空間を設置する。

 

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2010 Tokyo Institute of Technology