大学施設関係

 今回の提言書では、以下の3項目に分けて提言を述べていきます。

・食堂、売店へのアクセスビリティの改善
・個人用ロッカーの設置
・食堂施設のコミュニティ・スペース機能強化

 最後に大学各施設への要望について解析した結果と、自由記述における少数意見も合わせて紹介します。

食堂、売店へのアクセスビリティの改善

提言概要

 今回の学勢調査の結果、石川台や緑が丘地区の学生から食堂や売店を作って欲しいという要望が多く寄せられました。そこで、これらの地区に在籍する学生にとって食堂や売店へのアクセスビリティの実情や、これらの地区に食堂や売店が誘致される可能性を調べました。その結果、「これらの地区の学生が実際に不便な状況におかれていること」「石川台や緑が丘地区への食堂・売店の誘致は大変難しい」ことがわかりました。それを踏まえ、今後食堂を新しく作る時にどこに食堂を作るべきかを提言します。

学生の意見

 今回の調査で食堂・売店に対する寄せられた自由記述を表 4.3.1-1を取り上げます。

表

表 4.3.1-1 食堂・売店の要望に関する自由記述


現状分析

 図4.3.1-1は大岡山キャンパスの地図の中に大岡山に設置されている2つの食堂(第1食堂、第2食堂)とそれぞれの食堂からの等距離円(約徒歩3分)を示しています。大岡山キャンパスは大岡山地区(中央部)、石川台地区(左側)、緑が丘(右側)の3つの地区からなる細長いキャンパスです。2つの食堂はいずれも大岡山西地区に設置されており、キャンパス全体からみるとほぼ中央に位置しています。食堂からの等距離円の外側に位置する石川台地区や緑が丘地区から最寄りの食堂への距離はおおよそ5分くらいかかります。食堂へのアクセスビリティのある地区のある一方で、大岡山地区では2つの食堂の守備範囲の重なりが多くあり、無駄になっていることがわかります。
 私たちは石川台地区や緑が丘地区に食堂や売店を設置することが可能かどうかを調べました。その結果、出店にはそのエリアに潜在的ニーズとして学生3,000人はいることが必要条件だということがわかりました。しかし、石川台地区には800人、緑が丘地区には500人しか学生がいなく、出店はほとんど可能性がないことがわかりました。

図

図 4.3.1-1 食堂の位置と食堂からの等距離円


具体的提言

  • 計画的な食堂、売店の配置

 東工大の学生数(10,000人)を考えると、新しい食堂を作ることは残念ながら望めません。しかし、将来的なキャンパス整備計画として食堂や売店を設置する際には、石川台・緑が丘地区からもアクセスしやすい場所に設置することが望ましいと考えられます。

個人用ロッカー

提言概要

 学勢調査の結果、特に学部生の間で個人用ロッカーの需要が高いことがわかりました。そこで、ロッカー需要の実態をまとめるとともに他大学での取り組みも調べてみました。それをふまえ、ロッカー設置のあり方を提言します。

学生の意見

 今回の調査で、個人用ロッカーに対する自由記述に寄せられた意見として、表 4.3.2を取り上げます。

表

表 4.3.2-1 個人用ロッカーの設置


現状分析

 図4.3.2-1は所属別のロッカー需要を表しています。学年が下がるほどロッカーに対する需要が高く、「類」に属する学生では70%近くの学生がロッカーを欲しいと考えていることがわかりました。学勢調査に寄せられた意見をみると、教科書の置き場としてロッカーを希望しているようです。そういった意見の中にはありませんでしたが、学勢調査メンバーの実体験を聞くと、実習用の道具(製図道具セット)や、健康スポーツ科目の実習用の運動具を置く場所としてもロッカーが必要なようです。

図

図 4.3.2-1 所属別ロッカーを要望している割合


 他大学ではロッカーを設置している例があるのかどうかも調べてみました。いくつかの大学での例を表4.3.2-2に示します。学部生向けにロッカーを設置している例はみられました。

表

表 4.3.2-2 他大学においてロッカーを設置している例


具体的提言

  • ロッカーの設置

 学部生の間でロッカー設置の要望が多いです。他大学では導入している例もあるようなので本学でも導入の検討をお願いします。全員分設置できない場合は希望者のみ有料で提供することも考えられると思います。

食堂施設のコミュニティ・スペース機能強化

提言概要

 学勢調査を行う中で、「大学の施設の中で学生の憩いの場が不足している」ということに気が付きました。実際に学勢調査では所属によらず学生の多くがレストルームやコミュニティ・スペースの設置を要望していることもわかりました。しかし、このようなまとまった場所を確保することは難しいことも我々は承知しているので、食堂施設の有効利用を提案します。

現状分析

 図4.3.3-1は課程別に授業外の過ごし場所をあらわしたグラフです。大学院生ではほとんどが研究室で授業外の時間を過ごしているのに対して、学部生ではサークル室、食堂、図書館、講義室と点在して時間を過ごしていることがわかります。
 今回のアンケートで授業外の過ごし場所として「食堂」を選択した学部生は約400名で、これは今回回答して頂いた学部生全体の約30%に当たります。このように食堂は多くの人にとってコミュニティ・スペースとしても重要な役割を果たしているにもかかわらず、第2食堂に関しては席が200席ほどしかなく、第1食堂に関しては殺伐としていて整備が十分ではありません。

図

図 4.3.3-1 課程別授業外の過ごし場所の割合


 生協の方にお話を伺ったところ、生協側でもコミュニティ・スペースとしての使われ方をしていることは認識しているということでした。そして、コミュニティ・スペースとしての利便性を高めるためにも、無料でコピーが出来る機械やコーヒーマシーンを置いてくださっているそうです。しかし残念ながら、第1食堂に関しては開放しておいてもあまり学生が集まらないということで、現在は午後3時に閉めてしまっているということです。
 しかし、現在は需要がある可能性もあるため、第1食堂が実際にどのように利用されているのかを調べました。調査は定期テストが終了した2月18日(水)の午後2時くらいに行いました。残念ながら写真はお見せできませんが、約20名の方が第1食堂をコミュニティ・スペースとして利用している実態が確認できました。

具体的提言

  • 食堂施設のコミュニティ・スペース機能強化

 食堂は学内におけるコミュニティ・スペースとして重要な役割を果たしてきました。しかし、第2食堂はスペースが狭いですし、第1食堂はコミュニティ・スペースとして利用するには殺伐としています。設備の改修によって学生が過ごしやすい空間にしていただけるようお願いします。
 また第1食堂に関して、新学期直後は新入生がコミュニティ・スペースとして利用することが予想されます。その他、定期試験期間中は図書館等のスペースが混雑し、スタディ・スペースが不足されることが予想されます。そういった期間に第一食堂をコミュニティ・スペースとして開放するとニーズがあると考えられるほか、試験期間として利用し、利用度合いによって継続的に開放拡大を視野に入れてみてはどうでしょうか。

欲しい施設についての解析結果

 この節では、大学内の各種施設に関する定量的調査のデータに分析を加えていきます。

図

図 4.3.4-1 活動場所別スポーツ施設の充実度


 図4.3.4-1のように、キャンパス別にスポーツ施設への満足度を調べてみると、大岡山キャンパスでは「満足」と答えた人が多いのに対し、すずかけ台では逆に「不満」と答える人が多くなっています。

図

図 4.3.4-2 所属別スポーツ施設の充実度


 次に、図4.3.4-2,3に各キャンパスの類・科・専攻別にスポーツ施設の充実度を調べてみました。大岡山キャンパスでは類・科・専攻による差はみられず、すべての学生が比較的満足と感じていることが分かります。

図

図 4.3.4-3 所属別スポーツ施設充実度(すずかけ台)


 一方で、すずかけ台では専攻に属する学生に注目すると、不満から満足の回答割合がほぼ横ばいとなっています。類・科に関しては今回の調査ではサンプル数が少ないため、明確な動向がつかめませんでした。

図

図 4.3.4-4 所属別学生寮を要望する割合


 図4.3.4-4の様に、学生寮は回答者の所属によらず、おおよそ20%の学生に要望されていることが分かります。東工大は都心の大岡山キャンパスと郊外のすずかけ台キャンパスに分かれていますが、この地理的な所在の違いは寮を要望する意見には影響を与えていませんでした。

図

図 4.3.4-5 学生寮を要望する人の現在の住まい


 図4.3.4-5の様に、寮を要望する人の現在の住まいとしては、「下宿」や「自宅」と選択した人が多い傾向にあります。近くに下宿を借りるよりは無理をして自宅から通学する人が多いためと考えられ、首都圏大学に見られる傾向です。

図

図 4.3.4-6 現在の住まい別の学生寮を志望する割合


 現在の住まい(自宅、下宿、親戚の家、寮)を母集団として、それぞれの中で寮を要望する学生の割合を図4.3.4-6の様に調べました。寮に住んでいる人の中で寮を要望する人の割合が多いのは、「新しい寮を建設してほしい」といった見解が考えられます。また、「自宅」の項目において割合が低いのは、母集団が大きいためと考えられます。

図

図 4.3.4-7 アルバイト月収別の学生寮要望度


図

図 4.3.4-8 家賃帯別学生寮を要望する人としない人の割合


 学生寮を要望する人の生活状況を図4.3.4-7,8の様に調べてみました。寮を要望する人の割合とアルバイト月収とには相関関係はあまりありません。しかし、家賃は寮を要望しない人に比べ要望する人は安い物件を選択していることがわかります。

図

図 4.3.4-9 学年別のスタディ・ルーム要望度


 図4.3.4-9の様に、スタディ・ルームを希望する人は、学年が下がるほど多いことが分かります。研究室所属後の学部4年で割合が急に下がるため、学部1~3年用の学習スペースを確保することが必要と考えられます。

図

図 4.3.4-10 所属別合宿研修施設を要望している割合


 図4.3.4-10の様に、研修所を要望する割合は所属によらず低いことが分かります。ただし、自由記述を見てみると、むしろ大学内に学外からの学生や研究者を泊まらせるような施設が欲しいという意見がありました。


 以下、施設関係で寄せられた自由記述について述べていきます。

 自由記述の内、体育施設に関するものが約30%を占めました。統計データでは全体的に満足している傾向が伺えましたが、実際に使用している人が限られているためかと考えられます。

 実際に行ってきてみたところ、大量の砂塵が俟っていることが図4.3.4-11の様に確認できました。写真でもある程度は確認できますが、実際に見てみると写真よりも砂塵はすごいと感じられます。近隣住民からの苦情もあるかもしれません。

図

図 4.3.4-11 グラウンドの砂塵の様子


 音楽施設は利用者、非利用者の両方からの意見がありました。利用者側からは「防音室を備えた音楽練習棟」、「音楽サークル棟を広くして欲しい」と広さに対する不満意見が多く寄せられました。一方で、非利用者からは「うるさい」、「キャンパス外でも聞こえてくる」といった騒音に対する意見が多く挙げられ、近隣からの苦情もあることが考えられます。また、来年度は音楽サークル棟から近い位置に新図書館が建設されるため、静粛な環境を整備する附属図書館の利用者からの不満の声が高まることが予想されます。よって、何らかの対策を検討する必要があると考えられます。

 自由記述のうち、飲食施設に関するものも約30%を占めました。ほとんどが飲食施設の増設を望むもので、特にすずかけ台からの訴えが多く寄せられました。

1.外部の参入
 「おいしくない」、「ファミレスが欲しい」という意見が寄せられました。そこで、大学生協以外の業者がサービスを展開することはできないのかどうか調べたところ、民間業者が参入する際には、そのエリアに3000人以上の潜在顧客の存在が目安になっていることが分かりました。大学が提供しているデータから、総合理工学研究科の修士および博士の人数の合計をしらべたところ1600人程度しかおらず、民間業者が参入することは極めて難しいことが分かりました。

2.営業時間
 営業時間に関しては2つの種類の要望があり、1つは「深夜営業」、もぅ1つは「土日営業」でした。生協に伺ったところ、両方とも採算がとれれば営業してもよいということでしたが、生協が実際に土曜日に営業したところ、利用者は約200人程度で採算に合わず、これも難しいと考えられます。

3.その他
・熱湯をもっと簡単に使えるようにしてほしい
・ウォータークーラーを設置してほしい
といった要望も寄せられました。

○ 体育館、非常に滑りやすく危険。ワックスがけなどの対策を。加えて空調が非常に悪く、夏は大変危険。熱中症で救急車を呼んだ事もある。
○ 大岡山石川台間の地下通路のミラーの付け方は異常。凹面鏡らしき金属板から凸面鏡に変えたのはより危険が増すと思うがどうか。

これら2つの意見は寄せられた数は少数ですが、安全に関する問題ですので早急に対応をお願いします。また、学勢調査で伝えられた場所以外にも、ミラーや電灯などの設置不備のため危険な場所があるかと考えられます。確認の調査をお願いします。


○ 土木・環境工学科用のリフレッシュ・ルーム(何故建築学科にはあって土木にはないのだ?)仕方なしに土木製図室をリフレッシュ・ルーム代わりに使用せざるを得ない土木工学科の現状を何とかしてほしい。
○ コンピューター室(情報ネットワーク演習棟並の規模のものを希望する。いちいち緑が丘から情報ネットワーク演習棟まで来るのは面倒臭さすぎる。)
○ 緑が丘1号館及び3号館のトイレの洗面台に液体石けんを常備してもらいたい。西8号館や西9号館のトイレの洗面台にあるような液体石けんで良い。石けんのないトイレは使いづらくてしょうがない。
○ 緑が丘キャンパスには自動販売機が少なすぎる。もっと自動販売機の数を増やしてほしい。緑が丘1号館2階にある唯一の自動販売機も種類が偏っている。(缶が多すぎてペットボトルが少ない!)ペットボトル中心の自動販売機を2台以上、緑が丘キャンパス内に設置する事を希望する。
○ バイク用の駐輪場を増やして欲しい。
○ ふらっと立ち寄ってみんなでディスカッションが出来るような空間.通路の一部に少し開けた空間を設け(石川台3号館のような)、そこに椅子と、ホワイトボードor 黒板、できれば机も。研究室の入っているような階には全ての建物必要だと思う。学生同士の活発な議論による切磋琢磨が学生全体、ひいては大学全体のレベルを引き上げることになる。
○ 建物の入り口や人通りの多いところに喫煙所を置くのをやめてほしいです。特に西5や西3の前が嫌です。本当にいやです。
○ イチョウが臭いので全て切って下さい。
○ 昔ながらの大学の外観(第二食堂前のようなレンガ造りの建物)は改築して減らないようにしてほしい。むしろ増やすほうがいいと思う。あまり現代的な建物が目立つようになると伝統や威厳が損なわれてしまうように感じる。
○ 南6号館前の糞害をどうにかしてほしい。

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2010 Tokyo Institute of Technology