新図書館関係

 来年2010年より、本学では新図書館が開館されます。それに伴い今回の調査の大きなトピックとして、附属図書館に関する学生からの意見・要望を募りました。

提言概要

 今回の学勢調査では図書館に対して、書籍の貸し出しに加え、次のような役割への要求が学生の中にあることが明らかになり、それを新図書館への提言と致します。

・学生の普段の居場所(コミュニティ・ユーティリティースペース)としての役割
・学習スペースとしての役割
・レストスペースとしての役割
・情報ネットワーク演習棟のようなパソコン利用スペースを提供する役割

学生の意見

 最初に、新図書館に関係すると思われるグラフ、図書館に向けた要望の自由記述における具体的回答を列記します。

 まず、現在の図書館の学年別の利用目的を図3.2-1示します。(回答は複数選択可)

図

図 3.2-1 学年別図書館利用目的


 学部4年生以上では研究のための「文献の検索・閲覧」、学部3年生以下では「レポート・試験等の学習」が利用目的として多くなっています。
 「図書・雑誌の閲覧」は学年に関係なく多くの方が選択していますが、「オンライン・サービス(文献検索)」を見てみると、学部4年以降で利用者が増加しています。これには4年時から研究が始まり、論文雑誌等を利用し始めることが深く関係していると思われます。逆に研究室所属前の学部1~3年で高い選択率を示すのは「勉強のため(図書館資料を利用しない)」で、学習スペースとして附属図書館が利用されていることがわかります。
 次に、現在学生が求めている施設を図3.2-2に示します。

図

図 3.2-2 学年別大学に求めている施設


 「スタディ・ルーム」の項目を見ると、学部1~3年生から学習スペースの要望が大きいことが分かります。  次に、現在の学生の居場所となっている施設を図3.2-3示します。

図

図 3.2-3 学年別学生の居場所


 学部4年以上は授業時間外を研究室で過ごすのに対し、学部3年以下は各施設に点在していることがわかります。最後に、学年別の図書館利用頻度を図3.2-4に示します。

図3.2

図3.2-4 学年別図書館利用頻度


 今回の学勢調査で、図書館に関する自由記述において学生から挙がった要望を、ほぼそのままの表現で表3.2-1,2,3に箇条書きに示します。(※同様の意見については、代表的な表現を掲載。特に意見数が多い意見については、その件数も表示しています。)

表3.2

表3.2-1 附属図書館学習スペースに関する自由記述


表

表 3.2-2 附属図書館施設利用に関する自由記述


表

表 3.2-3 附属図書館施設・設備に関する自由記述


現状分析

 自由記述に挙がった意見に向けた図書館の回答を示します。

【表 3.2-1】への回答

 図書館内(地下2,3階)に個人の学習用スペースを、ガラスハウス2階にコミュニティ・スペースを3階にグループ学習スペースを主に配置しています。

 詳しい席数については計画段階ですが、http://www.libra.titech.ac.jp/INSIDE/pubttl/を参照ください。コンセントはすべての席に設置される予定です。

 プロジェクター・スクリーンなどの貸し出しは行っています。その他にも整備してほしい設備があれば、リクエストをお願いします。またグループ学習室の部屋数についても上記URLをご参照ください。

【表 3.2-2】への回答

 開館時間の問題については運用の問題であり、意見が多く、本当に必要であるということになれば、それも可能です。ただし、今はその必要性が具体的に示されていないので、費用の問題などもあり実施する予定はありません。
 なお、新図書館は、ガラスハウスのみの24時間開放など、開放するスペースをある程度自由に設定可能な計画になっています。

 これも運用の問題であり、意見が多ければ対応できます。ただし、グループ学習室などの学習のためのスペースでは飲食は控えて頂きたいと考えています。

【表 3.2-3】への回答

 現在は特に具体的対策は考えていません。

 現在の図書館にあるものと同程度のものを地下2階か地下3階に設置予定です。それに加え、現在はガラスハウス2階に自動販売機を設置する予定です。

 席がそれほど遠いとは認識していないことと、書架のスペースの問題もあり、現在は設置していません。重い本の運搬には、台車のようなものを貸し出しています。

 現在は資料のコピーのためのコピー機しか設置していませんが、これも要望が多ければ設置も考えられます。

 図書館はあくまで、本を読んだり学習をしたりするスペースであると認識しているので、新図書館では書籍の検索端末以外のパソコンは設置しない予定です。しかし、これも要望が多ければ対応の可能性はあります。

具体的提言

 以上のデータから、以下のような提言を図書館班では考えました。内容は、「図書館」に関するもの、「ガラスハウス」に関するもの、「両方」に関わるもの、の3つに分けて記述します。

【図書館】

 主に学部4年生以上が研究上必要な、文献の検索・閲覧の機能の充実が必要と考えられます。図書館では書籍の取り寄せ・リクエストなどのサービスを行っていますが、その認知度が低く(図 3.2-5)、その改善を求めます。具体的にはホームページで行っているアナウンスへのアクセシビリティの改善などを提案します。

図

図 3.2-5 図書館では,図書予約,他機関からの図書取寄せ,他機関への文献複写依頼,希望図書リクエストなどのサービスをご提供していますが,利用されたことはありますか?『出典:図書館利用者アンケート集計結果(2007年12月10日~2008年1月31日実施)附属図書館』


 図 3.2-5 図書館では,図書予約,他機関からの図書取寄せ,他機関への文献複写依頼,希望図書リクエストなどのサービスをご提供していますが,利用されたことはありますか?『出典:図書館利用者アンケート集計結果(2007年12月10日~2008年1月31日実施)附属図書館』

 学習スペースでは机を個人席、または仕切りの有無を学生が自由に変更出来るような複数席の机を中心に設置することを提案します。
 現図書館では仕切りのない4人席を一人で使うことも多く、席数に比べスペースが十分に活用されていません。また、付近の複数席での会話が学習の妨げになるという声もあり、それを未然に防ぐという目的もあります。
 現図書館では無線LANが座席の位置により使えたり使えなかったりすることが問題となっています。可能であれば、すべての場所で整備されることが望ましいですが、すべてに整備することが難しいのであれば、利用目的に合わせて、スペースを(表示などで)分けることで、利便性の改善を期待します。現在の無線LANの有効範囲はホームページのみのアナウンスで認知度が低く、結局、無線LANを使わない人が使える場所に座り、使いたい人が使えない場所に座る、というようなことが起こっていると考えられます。

 新図書館では目的に合わせたスペース分けがなされるということですが、特に個人の学習スペースでは、私語・騒音等をたてないようにルールを作り、職員の方からも注意を行ってほしいと考えています。また、新図書館の建設予定地から現在よりも電車・道路などの騒音が大きくなることが予想され、『ガラスハウスのガラスを二重にする』などの措置が必要だと考えられます。

 学習スペースの利用時間の延長、可能であれば24時間開放をお願いします。これに関しては先述のように、大変多くの方から要望があります。特に、学部3年生以下では、居場所となるサークル室やリフレッシュ・ルーム、食堂などが夜間解放されておらず、席数は限られ、静粛な環境が整備されているとは言い難いため、学習環境が十分に整備されてはいないと考えられます。また、夜間でも開放している一部のリフレッシュ・ルームを夜間は完全閉鎖し、1カ所のみ開放した方が学生の安全面も高いと考えられます。
 その他、論文雑誌などの貸出禁止の資料は、図書館開館の限られた時間でしか利用できないという問題点も現図書館にはあり、長時間開放されればこの問題も解消されます。

 蔵書が置かれている書庫に、一人掛けの椅子の設置を提案します。学生が休むためのものではなく、文献を探す時などに利用するものであり、そこで寝る人が出ることへの対策の意味も含め、長いものやしっかりとしたものは必要ありません。

 レジュメ、プリントなどのコピー用に、私費で自由に使えるコピー機の設置を提案します。先述したように、図書館は学部3年生以下において学習スペースとしての利用率が高くなっています。現在コピー機を自由におけないのは著作権に問題があるからだと理解していますが、新図書館ではエリア分けの自由度の高さを利用して、貸出スペースのエリアの外で図書館内にコピー機を置くことはできないでしょうか。(現図書館でいうと、新聞閲覧スペースに私費のコピー機を置くようなイメージになります。)

 グループ学習室は時期によってほとんど使われていないのではないでしょうか。グループ学習室を完全に事前予約制とし、普段は個人の学習スペースと同様に扱うことを提案します。

【ガラスハウス】

 学生が集まると予想される施設であることと、建設予定地が正門から近いことから、学部1年生用のロッカールームの設置を提案します。図3.2-2の「個人用ロッカー」の項目では、学部1年生の選択率が7割を超えています。その背景には学科所属しておらずロッカーを持ち合わせていない不便さがあると考えられます。特に、学部1年生は「健康・スポーツ科目」が必修であり、運動道具の保管用ロッカーの需要はかなりあると考えられます。

 学生からの希望の高いレスト・ルーム(休憩室・仮眠室)の設置を提案します。現存のリフレッシュ・ルームが学生同士のコミュニティ的要素が強いのに対し、レスト・ルームは学生が休息をとる場となります。夜間の実験の間の待ち時間や、徹夜の実験明けに利用したいという声が上がっているためです。管理上の問題が考えられるため、利用可能者や開放時間の制限が必要かと思いますが、時間を区切って試験的にでも導入することはできないでしょうか。

【両方に関わるもの】

 スペースを有効活用するために、キャスター付きの二人掛け机を中心に設置を提案します。これは学習スペースのときと同様に、席数に対する利用者数の比率を高めるためと、グループの人数に応じて机の数を変えられるようにするためです。

このページのトップへ

学勢調査2010のTOPへ

2010 Tokyo Institute of Technology