■ 理工系学生能力発見開発プロジェクト.
第13回特別講義「コミュニケーションと『間(ま)』〜CPS/IoT社会における人間関係はどのように進化するのか?〜」

日時:2019年6月26日(水)17時00分〜18時30分 (開場 16:30)
場所:大岡山キャンパス 西8号館10階 情報理工学研究科大会議室

6月26日,理工系学生能力発見開発プロジェクトでは,第13回特別講義「コミュニケーションと『間(ま)』
〜CPS/IoT社会における人間関係はどのように進化するのか?〜」を開催しました。学生から社会人まで
様々な所属や年齢の方々が36名参加されました。

今回教壇に立っていただいたのは,本学の情報理工学院情報工学系知能情報コースの三宅美博教授。
コミュニケーションにサイエンスがどのように寄与していけるかを語っていただきました。

講義の冒頭で三宅教授は,コミュニケーションにおける非言語的要素の重要性を主張されました。
VR(virtual reality 仮想現実)の実例を示しながら,最近は仮想空間で会議を行えるツールが開発さ
れていますが,現実空間と同様に没入感を持った円滑なコミュニケーションを実現するためには,仮想空
間でも他者と一緒に存在している感覚を得られることが重要であり,人が発する非言語的要素が仮想空間
にも現実空間と同様に反映されることが必須であると先生は述べられました。
円滑なコミュニケーションの実現には場の自己認識を介して多様な主観的領域が共創されなければならず,
主観的な領域の時間的側面である間(主観的同時性)に注目し,その生成とインターパーソナルな共有の問
題に取り組まれ,実験結果から,人は少し先の未来を予測しながら生きているのではないか,それが俗に
いう「間」であり,この未来像が他人と一致したとき「間が合う」という感覚が起こるのではないのかと
述べられました。
また,「間があう」ことがリハビリテーションにも役立つと述べられ,拍子をとり身体に刺激を与えるこ
とでパーキンソン病のフリージングが軽減される様子を比較動画で見せてくださいました。
さらに「間があう」ことを人工的に起こすことにより,実際には自分の体ではないものを自分の体と認識
することが可能になる実験結果等を動画等で提示し,そうした誤認を利用してバーチャル空間への没入感
を高められないか探っていると語られたところで講義は終了しました。

参加者の方々からは,「情報が専門でない参加者にも理解しやすく構成していただき,楽しく学べました」,
「社会科学,心理学,脳科学,情報工学,通信工学などが合わさった分野を大変合理的に説明くださった
と思いました」,「間が合うことが様々な状況で成り立っていることがわかり非常に興味深い講義でした」,
「理論と事例の対応付けがあり分かりやすかった」,「とても面白かったです。特にリハビリテーションに
バーチャルをつかうと楽しくリハビリができていいと思いました」等の感想が寄せられました。

特別講義司会を務めた秋澤優希さん(工学院システム制御系学士課程2年)のコメント
「今回の特別講義を通して,自分たちが自然に出来ているコミュニケーションが実は裏で高度な機能に支
えられていること,また情報社会の様々な技術や問題点について学ぶことができました。また三宅先生が
指摘された点は,今後情報社会や電子上や仮想現実でのコミュニケーションが発達するにつれて確実に問
題視されてくるものですが,まだあまり大きな問題と認知されていないものです。そのような新しい視点
を発見される先生の貴重な考え方も聞くことが出来,非常に有意義な講義であったと感じます。」


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