■理工系学生能力発見・開発プロジェクト ,日本植物学会第82回大会に参加

日程:2018年9月14日(金)~16日(日)
場所:広島国際会議場
参加学生:1名


【学会見学プログラム報告】

 ◆参加学生

所属/学年:生命理工学院生命理工学系/学士課程2年


 ◆参加学会

日本植物学会第82回大会


 ◆今回の学会に参加した目的と、学会を見学しての全体的な印象について

 今回私が、複数行われている学会の中でも日本植物学会を選び、参加したのは学部二年生になり専門科目が増えてはいますが、
まだまだ基礎の知識しか習っておらず、将来的にどのような研究をするのか、どんな研究が行われているのかに興味があったから
です。私は生物の中でも植物に興味があり、植物に関する研究が将来的に行いたいと考えております。単に植物といっても様々な
分野に広がっており、植物に焦点を当てて研究しているもの、植物を利用して他の分野に応用しているものなど私が知っているだ
けのものでも無数にありますが、実際東工大で研究室を探そうとしても植物という点で探すのは大変でありました。そのことから
植物に関連した学会に参加することで一見植物と関連がないような研究であっても、植物との関連性や植物を応用した研究を知る
ことで、私の将来の選択肢を広げることが可能ではないかと考え、今回の学会を選びました。
 実際に学会に参加してみると、植物をテーマに様々な分野に研究が広がっておりました。学会ではシンポジウムから一般講演、
高校生の発表まであり多くの研究がなされていることに驚きました。まだまだ知らない単語が多く飛び交うなかでも、自分が一年
生の時に学会に参加したときより発表の内容が理解することができて自分の成長を感じるとともに、なるべく同じような研究、内
容にならないように注意しつつ様々な範囲の研究に触れ合うことができるように努めました。中には先輩である東工大の方も拝見
いたしました。数年後には自分もあちらに立って発表しているのだと考えるとますます勉学に励みこの中の一員として恥ずかしく
ないように、日々を頑張っていきたいという思いが溢れました。
 また発表内容だけではなく、研究者の方や学生の方が度々議論していることがありました。対等な立場で様々な意見が交わされ
ていることに感銘を受けつつ、他の方の研究にも熱心に耳を傾け議論している姿は非常に参考になりました。他の研究から学び、
自分の研究にも役立てていくのだろうと思え、このような全体が活気に満ちている場はなかなか学部生では体験できるものではな
いと思うので、本当にこのような場が自身に与えられているのはありがたいことだと思いました。

 ◆見学したセッション等の内容について

「シンポジウム:新しい光合成の進化学」
 6名の先生方がテーマである新しい光合成の進化学に関連したお話をしてくださいました。光合成の仕組みは一通り理解してい
た私ですが、いざ話を聞いてみるとわからないところも多かったです。しかしその分学べるところも多く、大変参考になりました。
光合成の可能性を知ることができたとともに、元々興味がそこまでなかったエネルギーという分野にも関心がいく結果となりまし
た。光阻害ということや光合成が必ずしもいいことばかりではないということも学びました。

「口頭発表(二日目)」
 二日目の口頭発表では環境応答をテーマとしたものを中心にしました。その中には東工大生の先輩もおりました。興味深かった
のは長期間にわたる窒素欠乏や暗条件下で誘導される老化についてです。オートファジー欠損株を使ったり、窒素を欠乏させたり
して多くの条件で実験を行っておりました。結果も見やすく、このように実験を行っているのだと参考になりました。他の研究で
も低温ストレスやカリウム欠乏を行っているところもあり、シロイヌナズナを使用している方が多く見られました。ストレスを意
図的に作り、そうしない自然状態と比較することで植物の仕組みをより理解しようという試みは、植物に直接焦点を当てたもので
ありとっても面白かったです。

「口頭発表(三日目)」
 三日目の口頭発表では分類や系統、進化をテーマとしたものを中心にしました。中にはメジロによる送粉に適応したハマジンチ
ョウというものがありました。多くの花は虫を媒介に受粉を行っていると思いますが、この花は鳥媒介であり、鳥に受粉を媒介さ
せるために花の形が変化しているという発表内容でした。しかし、メジロ以外にほとんど放花は見られないという特徴を持ってお
り、大変面白かったです。また、緯度の違いによるフィトクロムの環境感受性の進化をいうのも興味深い内容でありました。有色
光に対する感受性が異なる花があったり、それは温度が原因ではないかというものでした。緯度によって生育が異なるというのは
同じ植物でもやはり環境に適した進化をしているという証拠になるものであり、進化についてもっと知りたいと考えるきっかけと
なりました。

「シンポジウム:おぼえきれない高校生物!-意味のある学びのために研究者コミュニティにできること」
 私自身、教職をとっているということもあり、教育の分野にも興味を持っております。今回の学会にこのようなシンポジウムが
あったために参加いたしました。現役の高校教師の方の話や教育を専門としている教授のかたのお話を聞いたり、大変有意義な時
間を過ごすことができました。私は東工大に物理化学を受験科目として入学しているために高校生物の大変さの全てを知っている
わけではありませんが、暗記の量が多い、また物理と比較して点がとりにくいなどの理由から生物を選択する人が少ないという事
実は知っていました。いわゆる生物離れが起きている中、この状況を変えるために高校生物を変え、研究者コミュニティに訴えか
けるようなシンポジウムが行われました。特に現役の高校教師の方の話が強く印象に残りました。生物の魅力を語ることから始ま
り、課題研究をカリキュラムに取り込み実行していることも紹介されました。課題研究によって教員の専門性の向上や授業改善の
動機、高大連携を強めたりする狙いがあるそうです。ただ教わるだけではなく、実際にリアルな文脈で知識・スキルを使っていく
パフォーマンス課題を課すことで深い学びに繫がり、思考力や理解力を身に着けさせられると聞いて、確かにこのようなことを行
っている高校は少ないと思いますが、このような学びが広がっていけば教育の質をより高めていくことができるのではないかと考
えさせられました。また、その先生が主張していたのは高校と大学の認識の違いです。高校で生物を教えるさいには入試に関わる
ことを優先的に教えていくが、大学では必要な知識を獲得させてほしいという願望があり、両者に差がある状態になっているそう
です。高校教員が大学での学びを理解することや、大学教員・研究者が高校の学びを理解するなど双方の理解力を上げていくこと
が課題なようです。

 ◆今回の学会見学が、あなたの理数(理工)系の能力開発にどのように影響しましたか

 今勉強していることと最先端の研究は少なからず離れていると日々感じています。学会参加ということがなければ将来自分がど
のような研究をしているのか、ゴール地点をみることができないと思いました。この学部二年生という段階でどのような位置に今
いて、どこまで進まなければならないのかを考えられる機会というのは非常に有益でありましたし、さらに勉学に力を入れて頑張
っていかなければという気持ちになりました。
 普段、大学生活を過ごしているだけでは研究者である教授は教育者として私たちに接するし、また修士、博士課程の先輩方とは
接する機会自体が少ないです。学会という場はそうした点から見ても研究している人を身近に強く感じられる場であり、今回の学
会に限らないと思いますが自分の専門ではない他分野であっても学会に参加することによって、多くの人が研究に関わり、日々努
力していることを感じることができると思います。実際今回の学会に参加した際にも日々の研究の結果や成果を発表している方々
を見て自分も頑張ろうと意欲が高まりました。

 ◆学会見学プログラムについて、反省点や今後への提案

 まだまだ勉強が足りていない、知識の量が研究を理解するのに十分でないと感じる点が多く、自身の勉強不足を反省しておりま
す。これは当然かもしれませんが、少しでも自分でも理解できる研究を選んで聞くことにする、または興味のある分野を優先的に
聞くということをすればよかったと考えています(様々な範囲の研究を聞くことを優先してしまったことから)。また、少しでも予
習まではいかないまでも、研究内容を調べていくともっと理解度が上昇したと思います。たった数分で全ての研究内容を理解する
のは私にとってはまだ難しかったですが、全くわからないということでもなかったので研究内容をのちに調べたりすれば改善でき
る点ではあると思います。


 ◆今回の学会見学での成長についての自己評価
      1.全く変わらない 2.少し成長した 3.まずまず成長した 4.とても成長した


a.) 学習(研究)に対する意欲[ 4 ]
b.) プレゼンテーション力・質問力[ 4 ]
c.) 理工系分野の専門性[ 4 ]
d.) 国際性[ 3 ]

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