設問No. 9-4「最後に全体を通して意見があれば自由に記入してください。」に以下の意見が寄せられました。
- 学生の意見を聞いてほしい(同様意見18件)
- 制度を変えるときは事前にアンケートを取ってほしい(同様意見6件)
- 形だけの説明会はやめてほしい(同様意見3件)
- 学生向け説明会の実施時刻を、授業時間帯ではなく、9-10限のような多くの学生が授業のない時間帯に開催してほしい
- 学生の意見をどう反映させたのか、公開すべき
- 学生に最近の取り組みの意図、メリットが伝わっていない。当事者である学生に受け入れられるような取り組みをしてほしい(同様意見5件)
- 改革を勝手に進めて、進んでいる状態だと既成事実にしないでほしい(同様意見2件)
- 益前学長に対して親近感を持っている学生は多いと思うので、Slackの#z-学長の日常とひとりごとのようなチャンネルは大竹理事長も引き継いでほしい
学勢調査2022実施以降、本学では東京医科歯科大学との統合と入試改革による女子枠設置をはじめとした多くの改革が実施されました。大学統合と入試改革については学勢調査2022追加調査でも学生から説明を求める意見が多数寄せられました。さらに、学勢調査2024でも本学の改革への反対意見や説明を求める意見が寄せられています。学勢調査2024では、「執行部との対話の機会の設置を求めますか。」などといった直接的な設問を設けていませんが、対話を求める意見が設問No.9-4「最後に全体を通して意見があれば自由に記入してください。」に複数寄せられたことから、執行部の取り組みに対し、学生が時に疑問を感じ、説明を求め、学生の参画を求めていることが分かります。
益前学長による大学統合と入試改革について、学生からは反対意見も寄せられましたが、改革の意義を伝えるための学生説明会と対話会は複数回実施されました。しかしながら、大学統合後、現執行部による大学運営の方針等に関わる学生説明会や学生との対話会はほとんど実施されていません。特に、全学生を対象とする説明会や対話の機会は現状、設置されていません。
益前学長による学生説明会や対話会の設置経緯、現執行部による学生説明会の実施予定を調査するため、総務課とのキャンパスミーティングを実施し、以下の回答をいただきました。
Q1.益前学長のときは、入試改革や統合等の大きな決定については、学長による学生説明会と対話会がありました。これはどのような経緯で設置されたのでしょうか。
A1.益前学長による学生説明会と対話会等は、大学運営における重要な決定事項について、学生の皆さんにも直接説明する場として設けられたものです。これらの説明会等は、特に益前学長が学生にも説明が必要であると判断した場合に開催されており、大学運営における透明性を確保し、学生との対話を重視する姿勢の一環として行われてきました。このような取り組みを通じて、学生の皆さんに大学の方針や背景を理解していただくとともに、意見交換を通じてより良い大学運営を目指してきた経緯があります。
Q2.大竹理事長による、Science Tokyoの目指すビジョン等の学生向け説明会の実施予定はありますか。
A2.現在、大竹理事長と田中学長によるScience Tokyoのビジョン等を構成員向けに説明する場として、タウンホールミーティング[1]が実施されています。このタウンホールミーティングは、10月1日に発足したScience Tokyoがその力を最大限に発揮するために、「執行部と構成員がこれまでの歴史と文化を尊重しつつ、一つにまとまりOur Teamをつくっていくことが大切である」という理事長と学長の思いを具現化した取り組みです。このタウンホールミーティングでは、「新大学をより善くするアイディアを共有する」というコンセプトのもと、自由でフラットな雰囲気の中で双方向のコミュニケーションが行われています。また、「多忙で時間がつくれない、意見を言っても仕方がないと思ったとしたら、その部分に重要なヒントが隠れているはず。できるだけ多くの想いや提案を届けて欲しい」との呼びかけも行われています。今後、学生に対しても、このようなタウンホールミーティングを実施します。ぜひ、多くの学生に参加していただきたいです。
Q3.タウンホールミーティングの開催形式について教えてください。
A3.最初に大竹理事長と田中学長がScience Tokyoのビジョン等を説明した後、参加者の質問に答える形式で実施されました。
タウンホールミーティングは対話によるアイディア共有を目的としたミーティングです。できるだけ、多くの学生が参加することが望ましいと考えられます。そのため、益前学長が実施した以下の説明会や対話会の参加人数について、
- 入試課:「『東工大の入試改革について:D&Iの観点から』在学生と益学長の対話会」
- 企画戦略課:「統合して東京科学大学が目指すビジョン等に関する説明会」
への学生参加者数をうかがいました(表6-2.1、表6-2.2)。
実施日時 | 開催場所 | 人数 | 使用言語 |
---|---|---|---|
2022年11月29日 9:30~10:30 |
Zoom | 登録者71名 参加者数不明 |
日本語 |
2022年12月1日 12:00~13:00 |
Zoom | 登録者数不明 | 日本語 |
2022年12月9日 9:00~10:30 |
すずかけ台キャンパスJ2棟J221講義室 | 参加者開始時3名 (延べ人数は不明) |
日本語 |
2022年12月9日 11:30~13:00 |
大岡山キャンパス70周年記念講堂 | 参加者開始時16名 (延べ人数は不明) |
日本語 |
日時 | 開催場所 | 人数 | 備考 |
---|---|---|---|
2023年7月11日 17:30~18:30 | Zoom |
登録者:343 (東京医科歯科大:168、東工大:175) 参加者:214 (東京医科歯科大:105、東工大:109) |
東京医科歯科大と東工大の合同開催 言語:日本語(英語同時通訳) |
2023年7月14日 12:30~13:30 | Zoom |
登録者:67 参加者:43 |
東工大向け 言語:日本語(ウェビナーによる自動翻訳) |
開催日時と場所を単純に比較することは難しいですが、授業時間外、特に7-8時限(医歯学系では4講)終了後の17:30~18:30にオンラインで実施した場合に参加者数が多かったことが分かります。また、対面実施での参加者数が非常に少ないことが分かります。
以上を踏まえて、大学執行部との対話の機会の設置について次のように提言します。
- 学生に対してもタウンホールミーティングを実施する
- Q&A 形式以外の実施形式の導入とともに、参加対象、テーマの工夫をすることで、より多くの学生が参加できるよ うにする
- 参加を希望する全学生がタウンホールミーティングに参加できることを目標とし、開催時間帯、開催場所の需要を 調査しつつ、複数回実施する
対面でのタウンホールミーティングに、より多くの学生が参加するためには、実施形式や参加対象、テーマの工夫が必要だと考えます。現状実施されているタウンホールミーティングのQ&A形式は対話の場として一定の機能を果たしますが、参加者が多い場合、発言者が限られ、結果として、一部の学生の発言を多くの学生が一方的に聞く構図になりがちです。また、特定の話題に偏ったり、発言しにくい学生の声が埋もれたりする可能性があり、双方向性が低下し、多様な意見を十分に引き出すことが難しいという課題があります。
このような課題を解決するために、Q&A形式以外の実施形式の導入を提案します。例えば、学生とのパネルディスカッション形式では、特定のテーマに基づいて意見交換を行うことで、執行部と学生の間でそのテーマに関するより深い議論を交わすことができ、参加者にとっても質問をしやすくなると考えられます。一方で、懇親会のようなカジュアルな場を設けることで、学生が気軽に日常的な悩みや意見を率直に話しやすい雰囲気を作ることも提案します。
さらに実施形式だけでなく、参加対象となる学生層やテーマ設定にも工夫を加えることが必要だと考えます。学院や課程によって学生が直面する課題や関心は異なります。対象となる学生層を限定したり、テーマを設定したりすることで、より関心の高い内容に焦点を当てた対話が可能となります。このように設定を明確にすることで、学生は「自分が意見を述べる場である」という意識を持ちやすくなり、対面での「双方向のコミュニケーション」と多様な意見の収集につながります。
これまでの説明会への学生参加状況を踏まえると、授業時間外、特に15:25-17:05の7-8時限(医歯学系では第4時限または第4講)終了後が、学生にとって参加しやすい時間帯であると考えられます。また、ウェビナー等を利用したハイブリッド形式での実施も提案します。最初のうちはタウンホールミーティングにハイブリッド形式を取り入れることで、より多くの学生が容易に参加できるようになります。また、対面実施の会場の様子を知ることで、次回以降の対面参加を促す効果も考えられます。都合のつかない人が参加を諦める形式よりも、継続的に参加ができるような形式であることが望まれます。
実施形式・参加対象やテーマ・開催時間帯と形式の工夫を通じて、特定の学生だけではなく、より多くの学生が参加しやすくなり、多様な意見を引き出すことができるようになると考えます、タウンホールミーティングが学生にとって実質的なコミュニケーションの場となるよう、試行錯誤を続け、多くの学生と対話することを求めます。
脚注
- 東京科学大学「大竹理事長、田中学長と構成員の対話の場『タウンホールミーティング』を開催」:https://www.isct.ac.jp/ja/news/95mo040g3ob7(最終閲覧日: 2025年2月26日) ↩︎