すずかけ台キャンパスの名称について学生から以下の意見が寄せられました。

すずかけ台キャンパスの名称変更についての検討が進められていることが、一部報道や大学HPにて、2021年3月に明らかになりましたが、その後、大学から正式な発表がないために名称変更が承認されたかどうかは明らかになっていませんでした。しかし、2024年6月21日に実施された、国立大学法人東京工業大学令和6年度第6回役員会の議事要録に、「芝田理事・副学長から,資料2に基づき,すずかけ台キャンパスの『横浜キャンパス』への名称変更について説明があり,審議の結果,これを承認した」との記載がありました[1]。大学から名称変更が公に発表されたわけではないものの、役員会議事要録が公開されたことにより、すずかけ台キャンパスの名称変更が承認されたことが明らかになりました。

第6回役員会議事要録は、学勢調査2024調査期間である2024年6月24日から7月24日までの間に公開されたと思われるため、本調査では名称変更に関する設問を設けていません。しかし、

には、合計39件[2]の名称変更に反対する意見が寄せられていることから、学生からの関心の高さがうかがえます。

すずかけ台キャンパスは1975年に「長津田キャンパス」として開設されました。1979年からはすずかけ祭が開催されています。2001年に本学の創設120周年を記念して、長津田キャンパスは最寄り駅であるすずかけ台駅にちなみ、「すずかけ台キャンパス」に名称変更しました。その翌年には、すずかけ台大学会館が設立されました。大学会館は「すずかけホール」という呼称で親しまれています[3]。2019年からはすずかけ祭をすずかけサイエンスデイに名称変更し、開催されています。

「すずかけ台」という名称は東急田園都市線すずかけ台駅の駅名として初めて使用されました。この駅は1972年に開通しました。本学の新たなキャンパスの最寄り駅となる新駅名として、本学から「すずかけ」の名称が提案され、東急側がそれを受け入れたことで、「すずかけ台」という駅名が誕生しました。「すずかけ」という名称は、プラトンが主催したアカデミアに植えられていたというスズカケノキから着想を得て、谷口修名誉教授が提案したものです[4]

これらの現状を踏まえて、すずかけ台キャンパス名称変更の経緯と理由、学内での意見収集の機会を調査するため、再開発推進課・すずかけ台総務課とのキャンパスミーティングを実施し、以下のような回答をいただきました。

Q1.Science Tokyo HPにて公開されている「令和6年度第6回役員会議事要録」にすずかけ台キャンパスの「横浜キャンパス」への名称変更について承認された、との記載がありました。名称変更についてのこれまでの経緯と理由について教えていただきたいです。

A1.キャンパス所在地の地元自治体である横浜市との連携を強化していくため、横浜市と本学は2021年3月に包括連携協定を締結しています。協定のポイントは、

となっており、協定締結に向けた協議の中で、「横浜キャンパス」への改称という話が出たことが発端です。その後、2022年2月に策定した「キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031[5]」において、すずかけ台キャンパスを、多様な地域貢献を含め横浜市との連携協力のもと、イノベーション拠点として再開発を進めていくこと、横浜キャンパスへの改称を検討中であることを公表しています。
これらの状況を踏まえて学内検討を重ね、2024年6月の役員会において、すずかけ台キャンパス創立51年目の節目である2026年4月から「横浜キャンパス」に名称変更することを決定しました。

Q2.名称変更について学内で意見を募る機会はありましたか。

A2.名称変更は事務負担も大きくなります。すずかけ台キャンパスで活動する教職員の方々にご意見を伺い、国際的なキャンパスにしたい、ということで横浜の名称を取り入れることに理解が示されました。

Q3.キャンパス名称変更について、学内外から意見を募る機会を設けようとはしていますか。(学内でのアンケート、パブリックコメント等)

A3.名称変更に関する公表時期は現在調整中ですが、現時点で、今後学内外から意見を募る予定はありません。

以上を踏まえて、キャンパス名称変更について次のように提言します。

  1. すずかけ台キャンパスから横浜キャンパスへの名称変更後も、キャンパス内での施設名やイベント名には「すず かけ」の名称をできる限り残す方向で検討を進める

名称変更については、すずかけ台キャンパスで主に活動する教職員の間で一定の合意が得られたと考えられます。しかし、本調査では名称変更に関する設問を設けていないにもかかわらず、「すずかけ」という名称が学生から愛されていることが分かる意見が多数寄せられました。長津田キャンパスの時代から、「すずかけ祭」など、すずかけ台キャンパスで施設名やイベント名に長く使用されてきた、本学にとって親しみ深い名称であることから、キャンパスの名称が変更された後も引き続き「すずかけ」の名称が使用されることが望ましいと考えます。

脚注

  1. 旧・東京工業大学「国立大学法人東京工業大学役員会議事要録令和6年度第6回役員会議事要録」:https://www.somuka.titech.ac.jp/somu/yakuinkai/R6/yakuinR6-6.pdf(最終閲覧日:2025年3月8日) ↩︎
  2. 1名の回答者が両設問に本件に関する回答をした場合は1件とカウント ↩︎
  3. 東京科学大学すずかけ台大学会館:https://www.szc.titech.ac.jp/gakumu/sub1.html(最終閲覧日: 2025年2月20日) ↩︎
  4. 東京科学大学生命理工学院生命理工学系「『すずかけ台駅名由来記』谷口修名誉教授」:https://www.bio.titech.ac.jp/access/access_pdf/suzukake.pdf(最終閲覧日: 2025年2月24日) ↩︎
  5. 東京工業大学キャンパス革新オフィス「キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031」:http://www.xcio.sisetu.titech.ac.jp/xcie2031/(最終閲覧日:2025年2月20日) ↩︎