設問No.6-9「学内の施設に関しての意見があれば教えてください。」と設問No.9-2「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I、D&I)の観点から全ての学生が過ごしやすくするために、改善すべき点があれば教えてください。」に以下の意見が寄せられました。
- 女性専用リフレッシュスペースを設置するのであれば、男性専用、男女兼用のリフレッシュスペースが欲しい(同様意見26件)
- 一女子学生として、体調が優れずそのようなスペースで過ごしたい人は男女関係なくいると思う
- 「女性向け」以外の施設の整備を中長期的な計画を立てて、着実に進めていく必要があると思う
- 男女兼用でも個室ライクなリフレッシュスペースが欲しい
- 仮眠室が欲しい(同様意見12件)
- 男女関係なく横になれる仮眠できる空間を設置してほしい
- 女性専用リフレッシュスペースの設置など、女性の特別扱いはやめてほしい(同様意見4件)
- 反感を買うからやめてほしい
東工大は、2023年10月に「女性活躍環境改善モデルプロジェクト」として、大岡山キャンパスに本館に女性専用のリフレッシュスペースを新設しました[1]。本学の女子学生、女性教職員は授業の合間や昼休みなど、開室時間内は自由に利用することができます[2]。このリフレッシュスペースの認知度は高いようで、設問6-9「学内の施設に関しての意見があれば教えてください。」や設問9-2「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I、D&I)の観点から全ての学生が過ごしやすくするために、改善すべき点があれば教えてください。」に女性専用リフレッシュスペースに関する意見が多く寄せられていました。
特に、男性にも同様に「横になれる」スペースが欲しいという声が多くありました。以前より学勢調査には仮眠室を求める声が寄せられていますが、設置には至っていません。したがって、全学として横になることが想定されているスペースは休養室、リフレッシュスペースに限られます。実際に女性専用リフレッシュスペースの存在に疑問を持つ意見の中に、学生の意見で取り上げた意見の他にも、
- 体調が優れないときに横になりたい学生は女子学生だけではない
- 男性も多くの人は他人の目があるところで横になろうとは思わない
- 男性も周りを気にせず休める場所が欲しいと思っている可能性を考慮しないのは差別と取られかねない
といった声が寄せられました。女子学生には横になれる場所があるのに男子学生にはないという印象を与えていることが、今回このスペースに対して寄せられた意見の背景となっていると考えられます。
以上の現状を踏まえて、社会連携・DE&I本部、ダイバーシティ推進課とキャンパスミーティングを実施し、以下のような回答をいただきました。
Q1.女性専用リフレッシュスペースの設置意図、用途について改めて教えてください。
A1.東京工業大学基金における寄附メニュー「女性活躍応援基金[3]」の中で実施した、女子学生・女性研究者のための環境整備に係る「女性活躍環境改善モデルプロジェクト」による支援を基に設置されたものです。用途としては、設置の検討の際に寄せられた「体調が悪いときに周りの目を気にせず横になれるスペースがほしい」との意見を踏まえ、女子学生、女性教職員が授業の合間や昼休みなど、開室時間内は自由に利用できるスペースとしております。
Q2.女性専用リフレッシュスペースの利用者数などについて把握し、効果検証をしていますか。
A2.このスペースは、本学の女子学生、女性教職員であれば、事前予約等が不要で自由に利用ができるスペースとして開放しており、利用者数の把握は行っておりません。利用者に対しては、2024年度初めにアンケート調査を実施し、その結果をもとにリフレッシュスペース横のトイレに生理用品を設置いたしました。
Q3.学勢調査2024の「学内の施設に関しての意見があれば教えてください」という設問に、「女性の特別扱いはやめてほしい」「女性だけではなく、男性も体調不良のときに横になれる場所が欲しい」といった声が寄せられています。このような意見は把握されていますか。
A3.現在スペースの管理をしていただいている理学院の事務とモデルプロジェクトを実施した際に、女性リフレッシュスペースにかかるアンケートを社会連携課で行った際には、男性休養室に関する意見は寄せられていませんでした。男性の休養室が欲しいという意見に関してですが、リフレッシュスペースではないものの、休養室の整備は進んでいます。これまで女性専用の休養室を優先して進めてきたというのは事実ではあります。女性用のスペースはある程度整備できてきていると感じているため、男性も利用できるスペースを整備していくことが次年度からの課題であると認識しています。
Q4.今後、女性専用に限らず、男性やその他の属性に向けたリフレッシュスペースの設置は予定されていますか。
A4.建物のスペースによって制限されるところがあるので、今具体的にどこにということはできないのですが、設置に向けて動いているところです。また、現在女性しか利用できない休養室の利用対象者を変えていくことで、女性だけではなく、体調不良の男性でも休めるように計画をしているところもあります。
以上を踏まえて、リフレッシュスペースに関して次のように提言します。
- 女性専用リフレッシュスペースについて、学内から幅広く意見を集める
- 男性が利用可能なリフレッシュスペースを新設する
リフレッシュスペース利用者を対象としたアンケートでは、リフレッシュスペース自体の改善にはつながるものの、対象外の人のリフレッシュスペースの需要に気づくことができません。多くの学生が納得できるようにするためにも、幅広く意見を集めることが必要だと考えます。
キャンパスミーティングを通して、男性向けの休養室設置に向けた動きが進んでいることがわかりました。学生全員にとって過ごしやすいキャンパスを作っていくためにも、女性だけではなく、段階的に男性、そしてその他の性に向けた施策を行うことも重要だと考えます。
設問No.6-9「学内の施設に関しての意見があれば教えてください。」に本館の女性専用リフレッシュスペースを利用する学生から寄せられた、リフレッシュスペースの環境改善のための要望をまとめます。
- 横になれるようにと謳われているのに、話や自習ができる環境になっているのは、目的に適っていないのではないか(同様意見3件)
- 利用可能時間を延ばしてほしい(同様意見2件)
- 壁際のソファにカーテンが欲しい(同様意見2件)
- リフレッシュスペース横のトイレの足元が開いているのは恥ずかしい(同様意見2件)
女性専用リフレッシュスペースは女性であれば自由に利用できるスペースであるため、利用方法は制限されません。一方で、「体調が悪いときに周りの目を気にせず横になれるスペース」と謳っていることからも、リフレッシュスペース内でも周りの目を気にせず休める環境を整備することは必要だと考えます。
脚注
- 旧・東京工業大学「本館に女性専用のリフレッシュスペースを新設女性活躍環境改善モデルプロジェクト」:https://www.titech.ac.jp/news/2023/067802(最終閲覧日:2025年2月19日) ↩︎
- 東京科学大学DE&I部門理工学系「休養室・リフレッシュスペース・車いす」:https://www.gec.jim.titech.ac.jp/promotion/rest/(最終閲覧日: 2025年2月19日) ↩︎
- 東京科学大学「女性活躍応援基金」:https://www.isct.ac.jp/ja/003/fund/support-areas/empowering-women(最終閲覧日: 2025年3月15日) ↩︎