生協食堂について、以下のような意見が寄せられました。

本学には、大岡山キャンパスのつばめテラスと第二食堂、すずかけ台キャンパスの3か所に生協食堂があり、共通のメニューもありますが、一部は異なっています。

設問No. 5-2「平日の昼食をとる際に重視している点を教えてください。」では、回答者のうち76%の学生が「価格」を重視していることがわかりました(図3-1.1)。次に多かったのは、約半数の学生が選択した「おいしさ」と「食事の量」です。「栄養バランス」や「アクセスの良さ」を重視している学生も全体の4分の1ほどを占めています。「その他」を選択した学生の自由記述では、「混雑・キャパシティ」(同様意見5件)、「食事の種類」(同様意見4件)、「生協マネーの利用」(同様意見2件)などが挙げられました。

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図3-1.2 平日の昼食をとる際に重視している項目別 全数に対する各飲食施設利用者の頻度別割合

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図 3-1.2 平日の昼食をとる際に重視している項目別 全数に対する各飲食施設利用者の頻度別割合

設問No. 5-1「平日の昼食は主にどこを利用していますか。」と設問No. 5-2「平日の昼食をとる際に重視している点を教えてください。」の回答をクロス集計すると(図3-1.2)、学外の飲食施設は「おいしさ」や「特定のメニュー」を求める人から支持を受けていることがわかります。対して、学内の生協食堂利用者の中には、学外の飲食施設で満たすことが難しい「ハラル・ビーガン」対応を求める人が一定数見受けられます。

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図3-1.3平日の昼食の平均予算

設問No. 5-3「平日の昼食の予算は平均いくらくらいですか。」に対する回答の分布は図3-1.3のようになりました。 学生の平日の昼食の予算は500~700円が最多で、500円以下で収めたい学生も全体の約3割を占めています。 さらに、設問No. 5-4「生協食堂のメニューで増やしてほしいものがあれば教えてください。」の自由記述の回答でも、 「500円以内で量と栄養バランスが十分な食事をとれるようにしてほしい」といった意見が16件寄せられています。

設問No. 5-1「平日の昼食は主にどこを利用していますか。」と照合して、 飲食施設の利用頻度別に平日の昼食の平均予算を比較した結果が図3-1.4です。 つばめテラスと第二食堂を週に1日以上利用する学生のうち過半数が、平日の昼食の平均予算を500~700円と回答しています。大岡山キャンパスには、大学生協のミール定期マネーを利用する学士課程の学生が多く、ミール定期マネーの1日の利用上限である600円を基準にしている人も多いと予想されます。ミール定期マネーの利用上限は2025年度から700円に引き上げられる予定です。また、生協食堂を週に1日以上利用する学生のうち20%ほどは平日の昼食の平均予算が500円以内となっています。

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図3-1.4 飲食施設の利用頻度別 平日の昼食の平均予算

設問No. 5-5「学内レストラン(生協食堂含む)・ショップ・キッチンカーについて要望があれば教えてください。」においても、現在の生協食堂は量や質に対して価格が高いため、学外の飲食店に対して優位性がないという指摘が185件ありました。

現在のメニューは主菜が肉系や揚げ物ばかりで、毎日通うには栄養バランスや野菜が十分に摂取できるメニューが少ないという意見もありました。学勢調査2022[1]のキャンパスミーティングでは、生協食堂が実施したアンケートに健康面や栄養バランス、野菜についての意見が多かったことを受け、小鉢を増やしているとの回答をいただきました。しかし、メニューの価格が高いと感じている学生にとって、定食や丼に小鉢を追加して野菜を摂ることはハードルが高く、メイン料理の段階で栄養バランスを考慮したメニューを提供する方がより効果的だと考えられます。

生協食堂ではおかずやごはんの単品購入も可能ですが、そのことを知らない学生もいます。揚げ物以外の副菜にも需要はありますが、現在の一品おかずや小鉢は配置上目立ちにくく、追加料金が発生するため、閉店間際のつばめテラスでは小鉢が売れ残ることも少なくありません。定食や丼に小鉢をあわせたセット、小鉢2~3個とごはん・味噌汁のセットなどを価格とともに提示することで、定食に含まれないメニューも選びやすくなると考えられます。

留学生を中心に、ハラルやビーガン、ベジタリアンに対応してほしいという要望も多く寄せられました。生協食堂では学内ムスリム団体TTMCと協力しながら、ハラル推奨メニューを提供しています[2]。これまでにハラル推奨のケバブやビーガン対応の野菜カレーなどが提供されてきましたが、提供されるメニューの種類はまだ限られており、さらなる充実が求められています。

上記の状況を踏まえ、本学生協とのキャンパスミーティングを実施し、以下のような回答をいただきました。

Q1.価格が学食どっとコープに記載されている価格[3]より1割ほど高いのはなぜですか。また、組合員でも非組合員でも価格が一律なのはなぜですか。

A1.生協食堂では、GakuPayによって10%のポイント還元を行っています。生協組合員の方は、ポイント還元によって実質的に一般の方より低価格で利用できるようになっています。以前は割引による組合員還元を行っていましたが、2022年夏よりレジシステムの更新によって運用が難しくなり、GakuPayポイントでの還元に変更となりました。本学では97%の学生が生協に加入しているため、組合員の方にはGakuPayでポイント還元を利用していただきたく思います。現状、つばめテラスでは7割前後、第二食堂では5割強がGakuPayでの決済となっています。

Q2.割安な朝食の提供や100円夕食の資金はどのようにやりくりしているのでしょうか。セット販売などで、恒常的に定価より低価格で提供することは可能ですか。

A2.朝食は料理の提供や会計をセルフとして営業をほぼ無人化しているため、削減できた分の人件費を価格に反映しています。朝食は平均10名前後、曜日によっては最大40名近くの利用があります。100円夕食は企業の協賛企画として実施し、定価と提供価格の差額を企業に負担してもらっています。恒常的に価格を下げるサービスは難しいですが、期間限定のポイント還元企画やミール定期マネーなどの形で還元を図っていきます。

Q3.すずかけ台キャンパスの生協食堂に常設メニューが少ない、フェアメニューが展開されてないことが多いといった意見が寄せられていますが、何か難しい点があるのでしょうか。

A3.すずかけ台キャンパスは大学院生の利用が中心で、1日に複数回来店していただくことも多いと思われます。2回目以降も楽しんでいただけるよう、2024年9月から日替わりメニューと時間帯別メニューを実施しています。さらに、授業の合間にも楽しんでいただけるよう、フライやスナックメニューの充実も図っていきます。以前はフェアメニューの食材を少なめに発注していましたが、来年度からは夕方にも残るように発注量を増やす予定です。

以上を踏まえて、生協食堂の価格およびメニューに関して次のように提言します。

  1. 揚げ物や肉以外の主菜を増やし、メイン料理で栄養バランスがとれるようにする
  2. 一品おかずとごはん・味噌汁・小鉢を組み合わせて 500 円や 700 円に収まる組み合わせ例を複数考案し、生協食 堂の注文コーナーへのポップ掲示などの形で提示する
  3. ハラル、ビーガン、ベジタリアン対応のメニューを拡充し、対応の程度を明記する

生協食堂に関して、価格やメニューに関する要望に加え、増やしてほしいメニューの具体的な希望、運営や設備に関する意見も寄せられました。特に多かったメニューの希望は下に抜粋し、その他は意見まとめ3-11に掲載しています。

増やしてほしいメニューの希望は、肉系の丼や油そばといったボリュームのあるメニューと魚や定食といった健康バランスを重視したメニューに二分しています。

学生が希望したメニューには、生協食堂で既に提供されていたものや学勢調査実施後に提供が開始されたものも多く含まれています。「今日のメニュー」は本学生協のLINEアカウントと大学生協アプリから見ることができますが、例えばSNSなど、より多くの学生の目に触れる形で提示することで、利便性が向上するとともに、生協食堂の利用頻度が低い人にも提供している多様なメニューを認知してもらうことができると考えます。

生協では、つばめテラスの出入口など、生協が管理する学内施設の各所に意見箱を設置し、学生からの声を常時受け付けています。今回の調査で寄せられたメニューの希望のように、食堂メニューに関する要望や購買書籍店で入荷してほしい商品をはじめ、生協に関する意見をお持ちの方はぜひ意見箱をご利用ください。

脚注

  1. 学勢調査2022提言書:http://www.siengp.titech.ac.jp/gakuseichousa/2022/2022_gakusei_teigensho.pdf(最終閲覧日:2025年2月19日) ↩︎
  2. 旧・東京工業大学「東工大が取り組むダイバーシティ&インクルージョンとは?」:https://admissions.titech.ac.jp/public-relations/school/features/whats-tokyotech-di(最終閲覧日:2025年2月21日) ↩︎
  3. 大学生協事業組合学食どっとコープ:https://gakushoku.coop/(最終閲覧日:2025年2月21日) ↩︎