設問No.3-8「授業の録画配信について意見があれば教えてください。」に以下の意見が寄せられました。
- 他キャンパスの講義を録画配信等で履修しやすくしてほしい(同様意見3件)
- 四大学連合(現在は三大学連合)において、他大学ではオンデマンドを利用していたため、本学(理工学系)も柔軟な講義スタイルを設けてほしい
設問No.3-10「前問[1]で選んだものに対して、 参加したい、参加している、または参加していた理由を教えてください。」という設問に対して以下の意見が寄せられました。
- 四大学連合に関して
- 授業が被る、移動時間が考慮されていないなどの理由で時間割を組むことが難しく取ることができない (同様意見10件)
また、田町キャンパスを主な活動場所とする学生から以下の意見が寄せられました。
- 設問No. 3-4「教養科目(理工系教養科目、文系教養科目、英語科目、第二外国語科目、日本語・日本文化科目、広域教養科目、教職科目、キャリア科目(2023年度まで)、アントレプレナーシップ科目(2024年度以降))への意見があれば教えてください。」
- 社会人学生のため興味のある科目があっても平日の昼間開催で受講できないため、オンラインとハイブリッドの開催を検討してほしい
- ライブ授業になると受講しやすい
- 設問No.3-5「現在在籍している系・コース等の授業・制度への意見があれば教えてください。」
- 技術経営専門職学位課程は社会人学生を広く募集しているにも関わらず、専門科目の授業が水曜日の16時台から実施されるなど、社会人が受講するのが不可能な科目が存在する点について、運営体制を考えていただきたい
- 地方で仕事をしている方の学修機会を損なわないよう、土曜日も引き続きZoomでの配信を継続してほしい
- 設問No.3-10「前問で選んだものに対して、参加したい、参加している、または参加していた理由を教えてください。」
- データサイエンス・AI全学教育プログラム:スキルとして身に着けたいので参加したいが、技術経営専門職学位課程の社会人学生なので時間が合わない
- 社会人を受け入れる体制になっておらず、参加しづらい
- 設問No.8-2「現行の東工大の制度のうち、統合を機に変わって欲しい制度は何かありますか、またどう変わって欲しいですか。」
- 学内施設の相互利用に加え、AI専修プログラムが社会人学生にとって受講しにくい時間帯に開講されている現状を踏まえ、社会人向けのAI専修プログラムを平日夜間や土曜日に開講してほしい
2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学の統合により、本学は、6つのキャンパスを有する国立大学となりました。図2-3.1は、学勢調査2022追加調査[2]の設問No. 10「統合後の新大学が人材育成において目指すべき方向性を教えてください」の回答結果を示しており、これにより学生が、高度な専門力や理工系全域の知見に関する講義に加えて医歯学系の講義に対して興味を抱いていることが推測されます。これらの結果を踏まえ、理工学系および医歯学系の学生が、6つのキャンパスにまたがって柔軟に講義を受講できる体制の整備が求められていると考えられます。


また、三大学連合(旧四大学連合)に関しても多くの学生が興味を示しています。図2-3.2は、設問No.3-9「以下の教育プログラムの中で参加したい、参加している、または参加していたものがあれば教えてください。」の回答結果を示しており、教育プログラムの中で四大学連合複合領域コースに最も高い関心が寄せられていることがわかります。一方で、授業時間が被ることや、移動時間が考慮されていない時間割のために履修することが難しいという学生の声があります。
田町キャンパスを主な活動場所とする学生からは、講義の受講においてオンラインやハイブリッド形式での参加を希望する声が多く寄せられています。特に平日昼間の時間帯に物理的にキャンパスへ通えない社会人学生にとっては、より柔軟な学修環境の提供が求められています。
これらの現状を踏まえ教務課、環境・社会理工学院業務推進課、リベラルアーツ研究教育院業務推進課、全学教育推進課、リベラルアーツ研究教育院、データサイエンス・AI全学教育機構とのキャンパスミーティングを実施し、以下のような回答をいただきました。
Q1.理工学系と医歯学系とで相互履修することができる仕組みを構築する[3]となっていますが、具体的にどのような仕組みの構築を考えていますでしょうか。
A1.(学士・大学院共通)
特定のコース・プログラムに参加せずとも医歯学系の授業科目を履修できる「相互履修科目」を選定し、提供します。
(学士課程)
統合前より実施している「三大学連合複合領域コース」に加え、2025年度から、新たに「医歯理工融合プログラム」を開始します。医歯理工融合プログラムでは、講義の相互履修に加え、理工学系の学生が医歯学系の研究室で、医歯学系の学生が理工学系の研究室において、研究活動に一定期間携わる授業科目「異分野研究プロジェクト」を新規に開講します。
(大学院課程)
医歯学と理工学が融合した大学院教育コースとして「人間医療科学技術コース」を2025年4月に開設します。理工学系は、カリキュラムに医歯学系との共通科目や医歯学系開講科目を標準学修課程に取り入れた、学位プログラムとしてのコースを設置します。なお、医歯学系には特別専門学修プログラムとしてコースを設置します。
Q2.学勢調査2022の「大学の対応」[4]において「ハイフレックス講義室を増やしたいとは考えておりますが、慎重に検討します」とありましたが、その後検討がなされているかについてお聞きしたいです。
A2.講義室改修や新規整備の際は、部屋の規模等に応じて可能な限りハイフレックスを取り入れています。ハイフレックス講義室数は、2022年度は大岡山31室・すずかけ台16室でしたが、2024年度は大岡山45室・すずかけ台19室となっています。
Q3.医歯学系の講義履修のために、オンライン講義等を増やす場合、理工学系のみの講義に関してもオンライン、ハイフレックス講義を増やすことは可能でしょうか。
A3.検討中です。
Q4.技術経営専門職学位課程の授業のハイブリッド形式は継続予定という認識で大丈夫でしょうか。
A4.2025年度は継続です。平日はオンライン形式ライブ型、土曜日は原則対面形式で事情によってはオンライン受講を認めるハイフレックス型です。
Q5.教養科目について、MOT(技術経営専門職学位課程)学生を想定した科目の設置はされていますでしょうか
A5.リベラルアーツ研究教育院としては、全学の方針に従って対面で授業を提供することを基本とし、学士課程は大岡山キャンパスで、修士課程は大岡山とすずかけ台キャンパスで対面授業を展開してきました。しかし、修士課程に関しては数科目ではあるものの、ライブ型、ハイフレックス型講義を展開しています(*)。博士後期課程については、社会人学生が多いことからオンラインで授業を提供しています。MOT学生向けに田町キャンパスで授業を開講することはしてきていません。2028年以降の統合カリキュラムにおいては、医歯学系学生も履修できるように、オンラインやハイフレックス型での授業を増やしていく予定です。ただし、どこまで柔軟に提供できるかは現段階では未定です。
・修士課程のライブ型、ハイフレックス型講義で行っている教養科目
・リーダーシップ道場【1】【4】【7】【9】(400番台/ライブ型)
・文系エッセンス47:意思決定論D(400番台/ハイフレックス型)
・文系エッセンス39:意思決定論E(500番台/ハイフレックス型)
・文系エッセンス24:社会思想史【1】【2】(500番台/ハイフレックス型)
・横断科目6:長寿社会と生命(400番台/ライブ型)
・横断科目22:水俣病から考える(400番台/ライブ型)
・横断科目23:東工大のキャンパスに親しむ(400番台/ハイフレックス型)
Q6.データサイエンス・AI全学教育プログラム(エキスパート(プラス)レベル)の対象者の想定に社会人学生(企業などで働き、給与を得ながら大学にも通う、大学院課程に在籍する学生)は入っていますか。
A6.エキスパートレベル及びエキスパートレベルプラスは、修士課程・博士後期課程学生向けの教育プログラムなので、令和5年度(2023年度)以降の修士課程・博士後期課程入学者であれば、社会人学生の方も対象となります。
A1.で紹介された相互履修科目[5]は、医歯学系科目が4科目開講されており、大岡山DAY[6]の一環として実施される「人文社会科学概論Ⅰ」は大岡山キャンパスにて対面で、残りの3科目はライブ型・オンデマンド型で実施されます。同様にA1.で紹介された「医歯理工融合プログラム[7]」では、理工学系科目は76科目、医歯学系科目は83科目選定されています。医歯学系科目の多くがライブ・ハイフレックス・オンデマンド形式で提供されているのに対し、理工学系科目は対面のみの開講が多い状況です。
以上を踏まえて、他キャンパスで開講されている授業をより履修しやすくするための環境整備について次のように提言します。
現在公開されている医歯理工融合プログラム科目は、理工学系の学生にとっては医歯学系の講義を履修しやすい環境が整っている一方で、理工学系の講義の半数近くが対面実施のため、医歯学系の学生が理工学系の講義を受講しにくいという課題が生じています。プログラム開始初年度で講義の需要規模が不確定ではあるものの、より多くの学生が幅広く講義を受講できるよう、理工学系講義のライブ・ハイフレックス講義形式の拡充が望まれます。
また、本学理工学系内においても、社会人学生や開講キャンパス以外のキャンパスに所属する学生が希望する講義を受講できない場合があります。学生の履修機会の均等化を図るためにも、理工学系で開講されている教養科目やデータサイエンス・AI全学教育プログラムなどについてもライブ・ハイフレックス形式の拡充が重要です。これにより、キャンパス間の移動や時間的制約を抱える学生でも学びの機会を得やすくなります。
脚注
- 設問No. 3-9「以下の教育プログラムの中で参加したい、参加している、または参加していたものがあれば教えてください。(複数選択可)」
□四大学連合複合領域コース□グローバル理工人育成コース(アントレプレナーシップ教育グローバル教育オプション科目の履修)□データサイエンス・AI全学教育プログラム□リベラルアーツ探究プログラム□Tokyo Tech Summer Program□Tokyo Tech Winter Program□B2Dスキーム□リーディング大学院□リーダーシップ教育課程□物質・情報卓越教育課程□超スマート社会卓越教育課程□エネルギー・情報卓越教育課程□日中韓新先進科学技術4大学(T2KN)共同教育プログラム(キャンパスアジア+(プラス))□清華大学との大学院合同プログラム□その他(自由記述) ↩︎ - 学勢調査2022追加調査:http://www.siengp.titech.ac.jp/gakuseichousa/2022/gakuseichosa2022_houkokusyo_ver3.pdf(最終閲覧日:2025年3月1日) ↩︎
- 旧・東京工業大学「大学統合時の教育・学生生活について」https://www.titech.ac.jp/student/students/news/2024/068809(最終閲覧日:2025年3月9日) ↩︎
- 学勢調査2022大学の対応:http://www.siengp.titech.ac.jp/gakuseichousa/2022/gakuseichosa2022_daigakunotaio.pdf(最終閲覧日:2025年3月1日) ↩︎
- 旧・東京工業大学「学士課程相互履修科目時間割(2025年度前期)」:https://www.titech.ac.jp/student/pdf/life-undergraduatetimetables-2025st-05.pdf(最終閲覧日: 2025年3月1日) ↩︎
- 旧・東京工業大学「大学統合時の教育・学生生活について」:https://www.titech.ac.jp/student/students/news/2024/068809(最終閲覧日: 2025年3月1日) ↩︎
- 東京科学大学「医歯理工融合プログラム選定科目一覧」:http://www2.gakumu.titech.ac.jp/program/Program_Courses.pdf(最終閲覧日: 2025年3月1日) ↩︎